「あ」
「あら、付いちゃったね」
 会話が途切れて、向こうがぽろっと呟いた言葉を俺が拾って。
 なんとなくしりとりが始まったものの相手にら行は鬼門だったらしく、たった今「リプトン」で三度目の自爆をした。
「リフトならセーフだった」
「目の前に紅茶があったんです」
 教室の前を通りかかると必ずと言っていいほど本を読んでいるし、その理論を実践に移そうとしている姿も見た。けれど、根元のところで彼は感覚人間なのだ。それがこんな風に垣間見える瞬間が、とても楽しい。
「じゃあどうしようかなー……」
 考えているのは罰ゲーム。スピーカー越しにも彼の緊張が伝わってきて笑いそうになる。
「脱ごっか?」
「……はい?」
「見れないのが残念だけど」
 本気で言っているとわかってもらえたのか、彼が小さく息を吐く。
「はい、脱ぎました」
「えらい」
「嘘ついてるかもしれませんよ?」
「脱いでる音は中々偽装できないでしょ」
 言ったのは自分だけど、まさか本当に脱がなくたって。ここまで従順だと、
「……変態?」
「先輩が」






2009/03/20